はじめに
「退職した後、健康保険はどうすればいいの?」
この悩みは、40代で会社を辞めた多くの男性が直面するものです。会社員時代は自動的に加入していた健康保険ですが、退職するとそのままではいられません。
選択肢は大きく分けて3つ。「国民健康保険」「任意継続」「扶養に入る」です。
どれが最も「得」かは、あなたの年収や家族構成、今後のライフプランによって変わります。
本記事では、40代男性を対象に、3つの制度の特徴やメリット・デメリットを徹底比較。あなたにとって最適な選択肢が分かるよう、費用や条件を分かりやすく解説します。
第1章:退職後に選べる健康保険の3つの選択肢
1-1. 会社の健康保険は退職と同時に終了
会社を退職すると、会社の健康保険は退職日の翌日に自動的に失効します。
そのため、退職後の生活に入る前に健康保険の切り替えを行う必要があります。
ここで選べるのが、以下の3つの制度です。
1-2. 選べる3つの制度
選択肢 | 加入先 | 主な条件 |
---|---|---|
国民健康保険(国保) | 市区町村 | 所得に応じて保険料決定。誰でも加入可能。 |
任意継続被保険者 | 会社の健保組合 | 退職日翌日から20日以内の手続きが必須。最長2年。 |
被扶養者になる(扶養) | 配偶者の健保 | 年収130万円未満などの条件あり。保険料負担なし。 |
第2章:3つの健康保険制度を徹底比較
2-1. 国民健康保険(国保)
市区町村が運営する保険制度。原則、誰でも加入できる。
保険料の決まり方
前年の所得に基づいて算出されるため、40代で高年収だった方は保険料が高額になる傾向があります。
また、40歳〜64歳は「介護保険料」も上乗せされます。
例:前年年収500万円、家族3人(妻・子)→ 年間保険料 約45〜60万円程度(自治体によって異なる)
メリット
- 加入が簡単で、どの市区町村でも対応可能
- 就職・独立後の切り替えがしやすい
デメリット
- 所得が高いと保険料も高額
- 任意継続に比べて医療費の自己負担が高いケースも
2-2. 任意継続被保険者
今まで加入していた会社の健康保険を最大2年間継続できる制度です。
注意:申請は退職日の翌日から20日以内に!
これを逃すと選べなくなります。
保険料の計算
今までは会社と折半していた保険料を、退職後は全額自己負担します。
ただし、上限額が定められているため、年収が高かった人ほど割安になる可能性があります。
例:標準報酬月額28万円 → 月額保険料 約29,000円前後(地域差あり)
メリット
- 保険給付(出産手当金、傷病手当金)が充実している場合が多い
- 保険料が一定で、国保より安くなる可能性が高い
デメリット
- 自分の意思で途中脱退できない
- 2年間限定
2-3. 配偶者などの扶養に入る
配偶者(妻など)が会社の健康保険に加入している場合、自分を「被扶養者」として加えてもらうことができます。
主な条件
- 年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
- 扶養者と同居しているか、生計を一にしていること
- パート・副業収入も含まれる
メリット
- 保険料はゼロ(扶養者の保険料でカバー)
- 医療保障は会社の健保と同等
デメリット
- 所得制限が厳しい
- 審査に時間がかかることがある
第3章:40代男性にとって「どれが得か?」をケース別に解説
ケース1:退職して無職、当面働かない(収入0)
→ 扶養に入るのが最も得
理由:保険料ゼロ、保障も維持。ただし審査があるため早めの申請が必要。
ケース2:年収100〜130万円前後の副業中
→ 扶養に入れるか微妙なライン
- 年収130万円を超えると扶養対象外
- この場合、任意継続と国保を比較して安い方を選ぶ
ケース3:年収200〜300万円(短期フリーランス、業務委託など)
→ 任意継続が有利な可能性大
- 国保の保険料は前年収に依存するため、退職翌年は割高になりやすい
- 任意継続なら保険料が固定で、収入に関係なく一定
ケース4:年収500万円以上・扶養不可・家族あり
→ 任意継続が最も現実的で安定
- 国保だと年間保険料が60万円以上になる可能性あり
- 任意継続は一定額で保障も厚い。とくに病院利用が多い場合はおすすめ
第4章:メリット・デメリットまとめ表
制度 | 加入条件 | 年収条件 | 保険料 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|---|
国民健康保険 | だれでも | 収入制限なし | 所得比例で増加 | 加入しやすい | 高額になる場合も |
任意継続 | 退職日から20日以内 | なし | 一定額 | 保障が手厚い | 途中脱退不可、2年限定 |
扶養 | 配偶者健保あり | 年収130万円未満 | 無料 | 費用ゼロ | 審査あり、収入制限 |
第5章:選び方のポイントと判断基準
① 収入の見込みがあるか?
→ あるなら扶養は無理。任意継続か国保を比較。
② 配偶者の健康保険に入れるか?
→ 収入が少なく、条件を満たすなら「扶養」がベスト。
③ 医療費が多いか?
→ 医療費の自己負担や付加給付を考慮すると、任意継続の方が得。
④ 今後の予定(転職・独立)があるか?
→ 短期間の無職なら任意継続、長期の個人事業なら国保でもOK。
よくある質問Q&A
Q1. 扶養に入るにはどこに申請する?
→ 配偶者の会社の健康保険組合に申請書と必要書類を提出。
Q2. 任意継続をやめたくなったら?
→ 原則、自己都合での途中脱退はできません。2年経過または保険料未納で終了。
Q3. 国保に切り替えるタイミングは?
→ 任意継続・扶養に入らない場合は、退職後14日以内に市区町村で手続き。
まとめ
40代で退職したあとの健康保険選びは、情報と計算次第で大きな差が出ます。
- 年収が低ければ扶養
- 中程度なら任意継続
- 高所得や家族持ちなら慎重に比較
状況に応じて「どの制度がいちばん得か?」を冷静に判断し、退職後も安心した生活を送りましょう。