はじめに
会社を辞めたあと、健康保険と並んで見落とされがちなのが「年金の切り替え」です。
40代で退職を考える男性の中には、
「会社を辞めたら年金はどうなる?」
「手続きしなくても自動で切り替わるんじゃないの?」
と不安や疑問を持つ方も多いはずです。
結論から言えば、会社員時代に加入していた「厚生年金」は退職と同時に資格を失い、自分で「国民年金」へ切り替える必要があります。
この記事では、退職後に必要な年金手続きについて、40代男性向けにわかりやすく解説します。
未納や手続き漏れを防ぎ、将来の年金受給に備えるために、今できる行動を確認していきましょう。
第1章:退職後、年金制度はどう変わるのか?
1-1. 会社員時代は「厚生年金」に加入していた
現役で働いていたときは、給与から自動的に天引きされていた厚生年金。
これは「基礎年金(1階部分)」に加えて、給与に応じた「報酬比例部分(2階建て)」が上乗せされる、いわば充実した制度でした。
厚生年金の保険料は、会社と労働者が折半して負担するため、個人の負担感は少なかったかもしれません。
1-2. 退職すると厚生年金の資格を喪失する
退職日の翌日からは、厚生年金の資格は自動的に消失します。
何もしなければ「未納」状態となり、将来的な年金受給額が減るだけでなく、受給資格すら失う可能性もあります。
退職後、無職やフリーランスとして働く場合は、自分で「国民年金」に切り替える手続きが必要です。
第2章:国民年金への切り替え手続きの流れ
2-1. 手続きはどこで行う?
基本的には、**住民票のある市区町村の役所の「国民年金窓口」**で手続きします。
一部、マイナポータルや年金ネットでオンライン申請も可能ですが、書類が揃っていれば窓口がスムーズです。
2-2. 手続きの期限
退職日の翌日から数えて14日以内が目安です。
期限を過ぎても手続きはできますが、その間の保険料が未納扱いになってしまうので注意しましょう。
2-3. 必要なもの一覧
書類 | 備考 |
---|---|
基礎年金番号通知書 or 年金手帳 | いずれかでOK。紛失している場合は再発行手続きを。 |
本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカードなど |
離職票または退職証明書 | 任意。提出すれば手続きがスムーズになることも |
印鑑(自治体によって必要) | 念のため持参推奨 |
第3章:国民年金の保険料と免除制度
3-1. 月額保険料はいくら?
令和7年度時点では、月額約17,000円(前年度から引き上げ傾向)です。
厚生年金と比べると、報酬比例部分がないため将来の受給額は下がる一方、保険料は全額自己負担となります。
3-2. 所得がない場合は「免除申請」も可能
退職直後で収入がない場合は、国民年金保険料の免除・納付猶予制度を活用できます。
免除区分 | 効果 | 受給資格への影響 |
---|---|---|
全額免除 | 保険料0円 | 受給資格にカウント、将来年金額は1/2相当 |
一部免除(1/4〜3/4) | 減額された保険料 | カウントされるが年金額は比例減少 |
納付猶予 | 収入がない場合 | 将来追納すれば満額反映 |
3-3. 「追納制度」で後から支払うことも可能
免除や猶予された保険料は、最大10年間さかのぼって支払うことができます(追納)。
将来、経済的に余裕ができたら追納することで、年金額を増やすことも可能です。
第4章:40代男性が気をつけたいポイント
4-1. 「未納」は絶対NG!受給資格を失うリスクも
年金は原則、10年以上加入していないと受給できません。
未納が続くと、将来的に1円ももらえない可能性もあるため、「切り替え忘れ」は避けるべきです。
4-2. ねんきんネットで自分の記録を確認しよう
退職を機に、自分の年金記録や将来の見込み額を確認しておくのもおすすめです。
**「ねんきんネット」(日本年金機構の公式サービス)**に登録すれば、加入履歴や見込み受給額を無料で確認できます。
4-3. 配偶者が会社員でも年金は「扶養」できない
健康保険は配偶者の「扶養」に入ることで保険料ゼロになることもありますが、年金にはそのような制度はありません。
40代で無職であっても、年金保険料は原則、自分で支払う必要があります。
第5章:よくある質問Q&A
Q1. 年金手続きはどのタイミングでやればいい?
→退職後すぐ。退職日の翌日から14日以内に市区町村で手続きを行いましょう。
Q2. 健康保険の「扶養」に入ったら年金も払わなくていい?
→いいえ。健康保険と年金は別物です。年金は自分で切り替え・納付が必要です。
Q3. 一時的に無職でも、年金は払ったほうがいい?
→免除や猶予を申請してでも「未納」にならないようにしましょう。将来の年金額に影響します。
まとめ
40代で退職したあとは、健康保険の手続きとともに、年金の切り替え手続きも非常に重要です。
- 厚生年金は退職とともに資格喪失
- 自分で国民年金に切り替え、保険料を納める必要がある
- 所得がない場合は免除・猶予制度を活用
- 手続きは14日以内が目安。未納は将来に大きく響く
将来の生活設計を守るために、今こそ「年金」と向き合うタイミングです。
この記事を参考に、手続きを早めに済ませて、安心した退職後ライフをスタートしましょう。